それは平日の深夜、そろそろ寝ようかと家の中が静まり返った時のことでした。どこからともなく、低く、そして連続的な「ブーン」という音が聞こえてくるのです。最初は冷蔵庫か何かのモーター音かと思いましたが、耳を澄ますと、どうやら音の発信源はトイレのようです。恐る恐るトイレのドアを開けると、音はさらに明瞭になりました。便器のあたりから、何かが必死に動き続けているかのような、不気味な機械音が響いています。水を流したわけでも、誰かが使った直後でもありません。ただ静かに、しかし確実に「ブーン」と鳴り続けているのです。その瞬間、私の頭の中は様々な憶測でパニック状態になりました。これは故障の前兆なのか?漏電でもしているのだろうか?このまま放置して、夜中に火事でも起きたらどうしよう。不安で眠れるはずもなく、私はパジャマ姿のまま、トイレの謎の音との格闘を開始しました。まず、温水洗浄便座の電源プラグを抜いてみました。すると、あれだけ鳴り響いていた「ブーン」という音が、ピタリと止んだのです。原因はこれだ。私は安堵のため息をつきました。どうやら、誰も使っていないのに、便座の何らかの機能が勝手に作動し続けていたようです。翌日、メーカーのサポートセンターに電話して症状を伝えると、長年の使用による内部基盤の不具合か、脱臭ファンの故障の可能性が高いとのことでした。結局、修理を依頼することになりましたが、あの夜、原因を特定できた時の安堵感は忘れられません。トイレの異音は、ただ不快なだけでなく、私たちの平穏な眠りさえも脅かす存在なのだと痛感しました。そして、異常を感じたらまずは電源プラグを抜いて様子を見るという、基本的な対処法の重要性を学んだ一夜でした。