それはある金曜日の深夜、一日の疲れを癒そうと洗面所で洗顔をしていた時のことでした。いつもなら吸い込まれるように流れていくはずの水が、なぜかボウルの中に溜まり始め、ついには縁の近くまで水位が上がってきてしまったのです。時刻は既に一時を回っており、近所のホームセンターは閉まっていますし、水道修理業者に緊急依頼をすれば高額な深夜料金がかかることは目に見えていました。私は途方に暮れながらも、スマートフォンの画面を頼りに解決策を探し始めました。そこで目に飛び込んできたのが、空のペットボトルを使って排水口の詰まりを直すという驚きの裏技でした。ゴミ箱の中にあった二リットルの炭酸飲料の空きボトルを急いで取り出し、まずは洗面台に溜まった水をコップで別の容器に移して、排水口が見える状態にしました。私の家の洗面台にはオーバーフロー穴があったので、そこをガムテープで厳重に塞ぎ、準備を整えました。ペットボトルのキャップを外し、排水口にその口を垂直に押し当てます。最初は加減が分からず恐る恐る押していましたが、思い切って両手でボトルを激しく潰すように圧力をかけてみました。ガコッという鈍い音とともに、排水管の中から溜まっていた空気が動く感触が手に伝わってきました。数回繰り返すと、ボトルの口を離した瞬間にゴボゴボという大きな音が響き、溜まっていた水が一気に渦を巻いて流れ去っていったのです。暗い洗面所の中で、私は思わず歓声を上げそうになりました。ペットボトルという、普段は捨ててしまうだけのプラスチック容器が、これほどまでに頼もしい道具に変わる瞬間を目の当たりにし、知恵の力の素晴らしさを実感しました。その後、念のために蛇口から勢いよくお湯を流してみましたが、滞ることなくスムーズに排水されていきました。業者を呼ぶこともなく、一円もかけずに数分で解決できたこの体験は、私にとって大きな自信となりました。これ以来、我が家では万が一の時のために、形のしっかりした丈夫なペットボトルを一本だけ、洗面台の奥に常備するようにしています。
深夜の洗面所の詰まりをペットボトル一本で解決した話